東北の企業が「人事と経営の定例ミーティング」を設計する方法——「人事は報告するだけ、経営は聞くだけ」の関係を超える
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東北の企業が「人事と経営の定例ミーティング」を設計する方法——「人事は報告するだけ、経営は聞くだけ」の関係を超える

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東北の企業が「人事と経営の定例ミーティング」を設計する方法——「人事は報告するだけ、経営は聞くだけ」の関係を超える

「経営会議で人事の報告をするんですが、いつも最後のおまけみたいな扱いです。売上の報告が終わった後に、『人事からは何かある?』と聞かれて、採用状況を30秒で報告して終わり。これでは人事が経営に貢献しているとは言えません」

宮城のある製造業の人事担当者から聞いた言葉です。私はこの「おまけ扱い」の構図が、東北の中小企業において人事が経営に十分な価値を発揮できていない根本的な原因だと感じています。

人事と経営の関係は、東北の中小企業では多くの場合「報告と承認」の関係にとどまっています。人事が採用状況や離職状況を報告し、経営者が「わかった」と承認する。しかし、「組織の課題について深く対話する」「人と組織の戦略を経営戦略と統合する」——こうしたレベルの対話はほとんど行われていません。

人事が経営のパートナーとして機能するためには、人事と経営が定期的に、構造的に対話する「場」が必要です。それが「人事と経営の定例ミーティング」です。

このミーティングは、単なる報告会ではありません。「組織の現状を共有し」「経営課題と人事課題を統合的に議論し」「具体的なアクションを決定する」場です。


なぜ定例ミーティングが必要なのか

人事と経営が定期的に対話する場が必要な理由を、3つの観点から説明します。

理由1:人事課題は経営課題である

採用難、離職率の上昇、後継者不在、スキル不足——これらは「人事部門の問題」ではなく「経営の問題」です。しかし、人事が自部門内だけで対処しようとすると、経営資源(予算、時間、経営者の関与)を十分に得られないまま、限界のある施策で対処することになります。

経営者が人事課題を「自分の問題」として認識し、経営判断に組み込むためには、定期的な対話の場が必要です。

理由2:経営方針の変更を人事に反映するため

「来期は新規事業を立ち上げる」「3年後に○○分野に進出する」——経営方針が変わるとき、人事はそれに応じた人材戦略を準備する必要があります。

しかし、経営方針の変更が人事に伝わるのが遅ければ、人材の採用や育成が間に合わない。定例ミーティングで経営の方向性を早い段階で共有することで、人事は先手を打つことができます。

理由3:データに基づく意思決定のため

人事が持つデータ——離職率、採用コスト、人件費率、エンゲージメントスコア——は経営判断に不可欠な情報です。しかし、このデータが経営者に定期的に共有されなければ、経営者は「感覚」で人に関する判断を下すことになります。


定例ミーティングの設計——頻度・参加者・アジェンダ

効果的な定例ミーティングを設計するための具体的な方法を紹介します。

頻度

月に1回、60〜90分が基本です。

週に1回だと準備の負荷が高く、議題も細かくなりすぎる。四半期に1回だと間が空きすぎて、タイムリーな議論ができない。月1回が最も現実的なペースです。

参加者

必須の参加者は「経営者(社長)」と「人事担当者」です。

規模が大きい企業であれば、「経営幹部(副社長・専務など)」「管理部門の責任者」も加える。ただし、参加者が多すぎると対話の質が下がるため、5名以内が理想です。

アジェンダの構成

ミーティングのアジェンダは以下の4つのパートで構成します。

パート1:人事データの共有(15分)。今月の主要な人事データを共有する。「採用の進捗」「離職の発生」「人件費の推移」「エンゲージメント関連の指標」など。データは数値で示し、前月比や前年比で傾向を伝える。

パート2:組織の課題と対応策の議論(30分)。ミーティングの核心部分。現在の組織課題を1〜2つ取り上げ、深く議論する。「特定の部署で離職が続いている原因は何か」「来期の事業拡大に向けて人材は足りているか」「管理職のマネジメントに問題はないか」——一つのテーマについて、表面的な報告ではなく、根本原因と対策を議論する。

パート3:経営方針と人事戦略の連携(15分)。経営者から今後の事業方針の共有を受け、人事として何を準備すべきかを話し合う。「3か月後に新拠点を開設するなら、人員計画はどうするか」「新サービスを始めるなら、どんなスキルの人材が必要か」——経営の先を見据えた人事の準備を議論する。

パート4:アクションアイテムの確認(10分)。今回のミーティングで決まった「誰が」「何を」「いつまでに」を明確にする。次回のミーティングで進捗を確認する。


ミーティングで共有すべき人事データ

定例ミーティングで共有する人事データは、「経営判断に直結するデータ」に絞ります。

私が東北の企業に推奨している「必須の人事データ」は以下の7つです。

  1. 採用の進捗(応募数、選考通過率、内定数、入社予定数)
  2. 離職状況(月間離職者数、離職率、離職理由の傾向)
  3. 人件費(総額人件費、人件費率、前月比・前年比)
  4. 残業時間(全社平均、部署別の平均、36協定の上限に対する進捗)
  5. 有給休暇取得率
  6. 評価・面談の実施率
  7. 研修の実施状況

これらのデータをA4で1枚の「人事レポート」にまとめ、ミーティングの冒頭で共有する。

秋田のある建設会社では、毎月の定例ミーティングで「人事ダッシュボード」を作成しています。エクセルの1シートに7つのデータを可視化したもの。「グラフにすることで、数字の羅列よりも傾向が一目でわかる。社長が『この数字は何だ?』と質問してくれるようになった」と人事担当者は語っています。


議論の質を高めるための工夫

定例ミーティングが「報告会」に堕ちないための工夫を紹介します。

工夫1:「問い」を中心にアジェンダを設計する

「採用状況を報告します」ではなく、「応募数が前月比30%減少しています。原因と対策をどう考えますか?」のように、「問い」を中心にアジェンダを作る。問いがあれば議論が生まれる。報告だけでは議論は生まれません。

工夫2:事前にアジェンダと資料を共有する

ミーティングの3日前までに、アジェンダと関連データを参加者に共有する。事前にデータを見てもらうことで、ミーティング中にデータの説明に時間を取られず、議論に集中できます。

工夫3:経営者に「人事への質問」を事前に考えてもらう

経営者に「人事に聞きたいこと、人に関して気になっていること」を事前に考えてもらい、ミーティングで共有する。これにより、経営者が「聞く側」から「対話する側」に変わります。

福島のあるメーカーの社長は、定例ミーティングが始まった当初は「人事が報告するのを聞くだけ」でしたが、事前に質問を考えるようにしてから、「今月の離職者の○○さんについて、本当の退職理由は何だったのか」「来期の事業計画に対して人員は足りるのか」といった具体的な質問を投げかけるようになりました。


定例ミーティングの導入事例

東北の企業で実際に定例ミーティングを導入した事例を紹介します。

事例1:山形のある食品メーカー(従業員90名)

月1回、90分の定例ミーティングを社長と人事担当者の2名で実施。導入のきっかけは「3か月間で5名が離職し、社長が危機感を持った」こと。

定例ミーティングを通じて、離職の原因が「特定の管理職のマネジメントの問題」であることが判明。管理職向けの研修と、人事による定期的な現場ヒアリングを開始。その後の半年間で離職率が改善しました。

社長のコメント:「月1回、人のことだけを話す時間を作ったことで、売上だけでなく組織のことを真剣に考えるようになった」。

事例2:盛岡のある建設会社(従業員60名)

月1回、60分の定例ミーティングを社長、専務、人事担当者の3名で実施。アジェンダは人事担当者が事前に作成し、毎回「今月の議論テーマ」を1つ設定。

3か月目のテーマは「来年度の採用計画」。経営方針の変更(住宅リフォーム事業の拡大)に伴い、新たに3名の採用が必要であることがミーティングで共有され、採用計画を半年前倒しで開始。「定例ミーティングがなければ、採用が間に合わなかった」と人事担当者は振り返っています。


ミーティングを継続するためのポイント

定例ミーティングで最も難しいのは「継続すること」です。忙しい経営者と人事担当者が、毎月必ず時間を確保し続けるのは簡単ではありません。

継続のためのポイントを3つ挙げます。

第一に、「日時を固定する」。「毎月第2水曜日の14時」のように固定する。「空いている日を探す」方式では、いつまで経ってもスケジュールが合いません。

第二に、「短くてもやる」。どうしても90分確保できないときは、30分でもいい。「今月は忙しいから来月に」が繰り返されると、いつの間にかミーティング自体がなくなります。

第三に、「成果を実感する機会を作る」。「このミーティングで議論したことが、実際にこういう改善につながった」という成果を定期的に確認する。成果が実感できれば、継続のモチベーションになります。


人事が経営のパートナーになるために

最後に、定例ミーティングの本質について述べます。

定例ミーティングは「手段」であり、「目的」ではありません。目的は、人事が経営のパートナーとして機能することです。

経営のパートナーとしての人事とは、「経営の言語(数字、戦略、ROI)で人事の課題を語れる人事」です。「離職率が上がっています」ではなく、「離職率の上昇により、再採用コストが年間○万円増加し、生産性が○%低下しています。対策として○○を提案します」——このレベルで経営者と対話できる人事。

定例ミーティングは、人事がこの力を磨くための訓練の場でもあります。毎月、データを整理し、課題を分析し、経営者に提案する。この繰り返しが、人事の「経営力」を高めます。

東北の中小企業で一人人事をしている方に伝えたいことがあります。あなたが経営者と月1回、組織のことを深く話し合う時間を作ること。それは、あなた自身の成長にもつながり、組織全体の成長にもつながる。人事と経営の対話の質が、東北の企業の組織力を決めると私は考えています。

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